マラソン前日、どのチャンネルを回しても、明日は雨、それも大雨の予報(アメリカでは、meteorologist(天気予報士)によって天気予報がかなり違うことがある)。わざわざ、サクラメントから車で7時間飛ばして、ロスまで来たのに、雨なんて...
ロスに行ったことなかったので、観光も兼ねて、ロスマラソン走ろうと強硬に主張したのは私。前回のサクラメントマラソンから3ヶ月しかなく、十分な練習期間もないので、Nickは、実は、4月のボストンマラソンを走りたかったはず。高橋尚子が走るという噂もあるし。雨の予報にちょっと責任を感じながら、私は明日の準備を始めるが、Nickはホテルの部屋のベッドに寝そべったまま。3年前、大雨のNYCマラソンを走ったNickも、どうやら、やる気がないみたい。(Nick:走れるかどうかはフィフティ・フィフティだからな。)大雨だったら、新しくできたディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーにでも行こうかと、パンフレットを読み始めるが、ちっとも頭に入らない。
翌朝、目覚まし時計が鳴る前に目覚めた私は、そっとカーテンのすきまから空をのぞく。雲は多いけど、まだ雨は降ってはいない。ああ、今、どしゃ降りだなら、あっさりやめられるのにな。今朝の天気予報もこれから降ると言っている。
いつもは安モーテルしか泊らない私たちだが、奮発して、スタートとゴール近くのダウンタウンのいいホテルに泊った(Travelocityの超格安レートだけど)ので、窓から三々五々、ランナーたちが集まってくるのが見える。
アメリカ人、雨でも傘をささないし、雨なんてちっとも気にしないもんね。このホテルに、日本からのマラソンツアーが来ているみたいだけど、日本からわざわざ来たのだから、雨でももちろん、走るんだろうな。悩んでいるのは私ぐらい?
エレベーターの中で、ロスマラソンのTシャツを着たおじさんがいたので、「あなたも走るの?私も走るんだけど、雨降るのかな、心配。」と聞いてみたら、「見て、空は明るくなってきているよ。雨の予報は30%だから大丈夫。」と力強く言っていた。でも、たった30%?天気予報を聞いている限り、ほぼ100%って気がするけど。
スタートはホテルの目の前。走り出してから降り始めるのなら仕方ないけど、スタートに並んでいる時に降り始めたら最悪だよね。でも、たしかに、雲が切れて、明るくなってきている。
8時45分、約20,000人のランナーがスタート!
雨が降ったら寒いかなと思ってちょっと厚着をしてきたが、途中からはかすかに日も差してきたので、汗ばむくらい。ちょっと長く走ると、左膝に痛みを感じることが何回かあったので、なるだけ、膝に負担がかからないよう心がける。この痛みのため、練習量も増やせなかったので、ハーフまでは走れるだろうけど、それからは自信がない。途中で棄権するランナーをゴールまで乗せてくれる収容車に乗るのもいい経験かな。
9マイル(約15キロ)地点で、猛烈におなかがすいてきて、頭もふらふらしてきた。朝食はパワフルに食べてきたつもりだったのに。完走できるかわからないんだし、とにかく、これでは走れない。ほんとは30キロ過ぎまで取っておこうと思ったけど、持ってきたGelを食べ始めると、かなり元気が出てきた。
沿道の人が何か食べ物を配っていると思ったのに、今のところ何もない。ウエストポーチに入れた合羽がかさばったので、Gelはあと1個しか持ってきていないので、とても足りない。念のため、20ドル紙幣も入れてきたので、最悪、沿道のお店で何か食べ物買おうとまで思った。私にとって、空腹は完走の最大の障害なのだ。

しばらく行くと、ランナーが集まっているので私も行ってみると、Gelやクッキーを配っている。私もあわてて手を出す。それからは、どこかに食べ物がないか、視線をあちこちに走らせ、パン、バナナ、オレンジ、もらえるものは何でももらった。ランナーが一斉に食べ物に群がるので、あっという間になくなり、食べ物は不足しているみたい。オレンジの皮が道に落ちているのを羨ましく思って見ていた。ボストンだったら、食べきれないほどのオレンジがあるのにな。(Nick:俺の時はいっぱいあったよ。)
途中の韓国人街はハングル語であふれていて、活気がある。高級住宅地なのか、こぎれいなお屋敷が並んでいるところも通った。ハリウッドがいちばん沿道の観衆が多かったが、それでも、ボストンマラソンの賑わいとは段違い。こぎれいな郊外に住んでいる人が多いからか、ロスの街って結構さびれていない?
雲は多いが、雨雲はまだはるか彼方。風が強くなってきて、少し寒くなってきた。後半、上り坂が多く、足はなかなか進まない。私のような遅いランナーも多く、今までのどのマラソンよりもまわりに人が多くて、さみしくない。けれど、まわりは半分以上歩いている。一応、私は走っているものの、背の高いアメリカ人の男の人が、大股で早歩きしているのにも追いつけない。こんなので走っている意味あるのかな。
痛めた左膝も少し痛いような気がするが、何とか走れる。しばらくすると、左はいいのだが、右膝が痛いみたい。痛いのか痛くないのか、だんだんわからなくなってきた。でも、上り坂よりも、下り坂が辛くてペースが落ちるので、やっぱりどこか痛いんだろう。
Nickがそろそろゴールをしている時間かな。1マイルごとにタイムを取っているのだが、タイムもだんだんどうでもよくなってきた。計算もできなくなってきている。食べても、元気がでなくなってきた。
1マイルごとに旗が立っていて、遠くからもよく見える。その旗がなかなか近づいてこない。それでも、ゴールのあるダウンタウンのビル群が見えてきた。最後の1マイル、歩いていた人も走り始めたのか、置いていかれる。でも、1mたりともスパートする余力さえ残っていない。最後の1マイル、果てしなく長かった。
そ、し、て、ゴール! 5時間54分1秒。「Congratuations!」とメダルをもらう。完走メダルもらえないかと思っていたのに。ワースト記録だけど、完走できただけでよしとしよう。もう1歩でも長く歩きたくないから、ホテルがゴールの目の前にあるのが何よりうれしい。(Nick:いつもゴールしても超元気のJunkoが珍しくバテていた。)
Nickもセカンド・ワースト記録の4時間8分13秒だった。タフなコースのため、他のランナーも遅かったのだろう、順位はよかったみたい。
ホテルの中で、ゴールでもらった銀紙を巻いて歩いていると、「Congratuations!」と言ってくれる。着替えてからも、足をひきずって歩いていると、「あなた走ったの? Congratuations! 足大丈夫?」と言ってくれる人がいた。ロスの人は、会う人、会う人、みんなフレンドリーだった。
雨は夕方やっと降り出した。雨の予報は何だったのだろうか?? アメリカの天気予報、当たらないこと多いってわかってはいるけど、ここまでとは... でも、走っている間に降らなくてよかったよ。